RSNA2024 参加報告
RSNAへ参加なさった先生方から、学会参加のご報告をいただきました。
それらの一部を共有させていただきます。
会員には、メールにて情報共有をしております。
RSNA 2024参加報告 中島一彰 先生
コロナ禍を挟んで数年振りにRSNA(北米放射線医学会)に参加しました。空港を一歩出て最高気温でもマイナスの冷気に触れてシカゴに来たことを実感。会場では乳腺のセッションを中心に参加しましたが、マンモグラフィ検診において診断能の高いトモシンセシス(DBT)を用いるのは前提として、高濃度乳房や乳癌発症のintermediate risk群へのsupplemental screeningにUS、造影MG、造影MRI、AIなど何を用いるべきかという議論がされており、日本の遅れを感じるところ大でした。一方で拡散強調像のセッションでは名古屋大学の飯間先生が世界をリードする演者のひとりとして講演されており誇らしく思うのと同時に、乳腺領域全体に日本からもっと発信していかなければならないと感じました。
ポスターディスカッションは、今回は座長もおらず全体に閑散とした印象で、私のポスターも前日アルコールを控えめにした甲斐もなく、通りすがりで聴いてくれた方がごく少数であり拍子抜けでした。
機器展示は広大なフロアを使って賑わっていましたが、HOLOGIC社の新DBT装置のTilt機能(車いす使用者や高齢者に有用)や、SIEMENS社の高速化しつつ画質を向上したDBT装置(こちらはすでに日本導入済み)のとくに再構成画像の回転viewに興味を惹かれました。
コロナ禍を経てオンデマンド機能が充実しており、学会の開催形態も今後さらに変わっていくとは思いますが、とくに若い方はぜひ現地に足を運んで刺激を感じて頂きたいと思いました。
静岡がんセンター乳腺画像診断科 中島一彰
RSNA2024に参加して 後藤 由香 先生
RSNA2024で乳房MRIに関する演題を発表してまいりました。RSNAの参加は10年以上ぶりで,発表は初めて。私の演題はPoster discussionに選ばれており,「数分のプレゼンテーションをふられることもあるから」と事前情報を教えていただき,英語のプレゼンを練習し,質問も想定し...と準備をして,いざ発表の場に挑みました。しかし座長(進行役)が指定の時間に現れず,何もないまま30分がすぎるというアメリカの洗礼を受けました。
機器展示は春の放射線学会@横浜の倍以上の規模です。今回,マンモグラフィ装置ではHologic社とGE社の新装置お披露目に立ち会えました。装置には布が掛けられなんともそれらしい雰囲気.カメラもたくさん,スタッフもノリノリでお祭り騒ぎ.GE社新装置Pristina Viaは“zero-click”をコンセプトに,撮影と撮影の待ち時間のないシームレスなワークフローになったようです。外見はあまり変わりないけど,コンソールはシンプル!それからAI技術により飛躍的に画質が向上していました。特にDBTデータから再構成する合成2Dは通常の2Dと見分けがつかない程で,画像を見せてくれたGEスタッフのドヤ顔がとても印象的でした。また日本では行われていない造影マンモグラフィも詳細に説明してくださり(これもドヤ顔で),大変興味深く拝見しました。
Hologicは検出器部分が±10°チルドするという斬新な機能が搭載されていました。これによりCC方向で描出される領域が平均で1.3cm増えるということで,画像を実際に拝見すると「確かに!」という感じです。撮影する立場としてはどんな感じでポジショニングするのか実際にやってみたいなぁと興味津々で拝見しました。またDBT撮影が現行装置も速いのに,新装置は2.5秒という驚異的な速度!
私が聴講したセッション。やはりBI-RADS改訂が事前には話題でしたが,前噂通り今回のRSNAでの発表は見送り,来年に期待です.またhigh risk群に対するスクリーニング議論は終わり,多人数が対象のintermediate risk群をどうするか?というテーマで議論がされていました.DBT,造影マンモ,US,MRI(短縮型),AIなどなど,多人数にどう立ち向かうか,という感じでしょうか。USはABUSなのかなと勝手に思っていましたが,HHUSがいいよ,という日本人にとっては「そうだろうなぁ」という感じでディスカッションされていました。
円安の影響もあり,日本の先生方の参加は少なかった印象です(スタバではラテとベーグルだけで2,000円!)。とにかく寒くてシカゴ風の洗礼を従分すぎるくらい受けて,降参状態でした.何もかも大きなRSNA,私にとっても大きな経験となりました。またいつか,参加したいと思わせてくれる素敵な学会でした。
聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージングセンター附属クリニック
診療放射線技師 後藤 由香